エクセルの初心者にぜひ取り入れて欲しいテクニックをご紹介します。
それは「場外を利用する」ということです。
エクセル初心者にとってどうしても関数はとっつきにくいもので、
特に関数の”引数”で手こずる方も多いです。
引数とは、関数名()の括弧”()”の中のことで、コンマ”,”で区切ります。
例えばIF関数で言えば、
第1引数が論理式(A1=B1の部分)
第2引数が[真の場合](C1*D1の部分)
第3引数が[偽の場合](E1*F1の部分)
基本的にはこうやって関数の引数には数式などを入れ込む形になります。
で、エクセルに慣れてくるともっと複雑な処理ができるようになってきて、
この引数の部分にもさらにIF関数が入ってきたり、
数式も足し算、引き算、掛け算、割り算、
いろいろなものが混じりながらの複雑な計算式になってきたりします。
そうなってくると訳が分からなくなってくるわけですが、
そういうときには複雑になりすぎている引数の部分を分解して、
それぞれ別のセルで一旦計算してしまうのがおススメです。
つまり場外で下ごしらえしてしまうというイメージです。
何も関数に入れる引数は一つのセル内に全て入れ込む必要はないんです。
別のセルとしては、画面に表示されていないような見えない所、印刷しないようなちょっと遠いセル番地がいいでしょう。
私がよくやるのは、キリがいいAA列あたりに作業スペース用にして使ったりします。
このあたりだとユーザーに目に届きにくくて勝手に消されたりすることもないし、見た目にもごちゃごちゃせずに済みます。
これをやることによるメリットは3つあって、
1つ目は、難しい引数の計算を簡単な計算に分解することができること。
2つ目は、分解することで一つずつ確認しながら段階的に組み立てることができること。
3つ目は、部分的に別のセルで処理をしておくと、同じような計算を他の関数でも使いたいときに再利用もできます。
ちょっと例をお見せしますね。
“日付を入力すると、その日付から月末まであと何日あるかを計算したい”
という場面を考えてみましょう。
こんな事例です。C列には年、月、日が入力されています。
F3にある枠内に”月末まで残り◯◯日”と数字を計算してくれる式を入れたいとします。
計算方法としては、”今月末の日付-C3年C4月C5日”で計算できそうです。
F3に数式を入れるとしたら、日本語で表すと、”=今月末の日付のシリアル値-C3年C4月C5日のシリアル値”で計算できます。
シリアル値とは1900年1月1日を1として、その日から1日ごとに1を加えた整数のことです。
エクセルで日付を使う場面(これが結構多い)では必ず使いますので、シリアル値の使い方にも慣れておきましょう。
これを数式にすると
となります。
やっていることは、EOMONTH関数という関数を使って、第一引数の日付から見た今月末の日付から、指定した日付の差を計算しています。
ちなみに、わけがわからない関数がでてきたかもしれませんが、今回はこれを計算をすることが目的ではないので関数の意味は理解しなくて大丈夫です。計算式の組み立て方の話ですので。
見てもらうとわかるとおもいますが、一つのセルの中では、関数-関数という計算式が入っていて、また関数の中にも関数が入っていてと、とても複雑な関数になっています。
まあ、よほどのプロじゃないかぎり、これをいきなり書けるわけがないんです。
はい、私もできません。
このあと説明するように、部分的に計算したものを一つのセルに集めるだけです。
ではまず、C3年C4月C5日のシリアル値を求めてみます。
場外のどこでもいいのですが、今回は見やすいようにH2に計算式を入れてみようと思います。
DATE関数は、引数として年、月、日を渡すとシリアル値を計算してくれる関数です。
H2の書式を”日付”にしていると、このように日付として表示されました。
次にEOMONTH関数で月末の日付のシリアル値を計算します。
EOMONTH関数は、第一引数の日付を起点に、
第二引数が
0なら今月末、
1なら来月末、
2なら再来月
というような日付のシリアル値を返してくれます。
今回は、2016年8月10日の月末を計算したいので、H3セルに、
と入力します。
第一引数は、指定した年、指定した月、日は何日でもいいので1にしています。
第二引数は今月末を計算したいので0にしています。
こうすると、H3セルには2016年8月の月末の日付が導き出されました。
書式を日付にしているので表示が”○○○○/○○/○○”と表示されていますが、実態はこのようなシリアル値という数値です。
なので日付どうしを引き算すれば、その差が計算できます。
つまり、H3-H2で計算すれば月末までに日数が計算されます。
このように月末までの日数が計算できました。
このように、難しい計算を簡単な計算に分割して場外で下準備して組み立てながら目的の計算を行えば、難しい計算式も楽に完成できます。
計算式が複雑になってきたら、ぜひ場外を利用してみましょう。
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